Yagimai Wonderland!!/八木田麻衣スケジュール
「八木田麻衣のオーマイジャストフィット」 TBSラジオ公開収録
1996年2月1日(木) まんがの森川越店

 
昨日(2月1日)は大顰蹙を買いながらもゼミを途中で抜け出したぼくでしたが、そんなちっぽけなことを気にしてはいられなかったのです。何と言っても、昨日は麻衣ちゃんと逢える日、2ヵ月ぶりに、麻衣ちゃんがまんがの森に帰ってくる日だったからです!

午後4時30分、東武東上線川越駅に降り立つと、ぼくは大きく深呼吸をしました。昨年9月17日、麻衣ちゃんに逢いに来て以来の川越。あれからTPDを卒業し、長年住み慣れた団地から引っ越しもした麻衣ちゃん。
11月24日の津田沼以来2ヵ月ぶりの出逢い。あのころと変わらない気持ちのまま、二人見つめ合うことができるのかな。期待と不安が、胸を交錯していきます。
まんがの森川越店は、JR・東上線川越駅から徒歩5分、商店街の中程の小ぎれいなビルの2階にあります。街の雰囲気は、あの日と変わらぬまま、雑踏の奥にまんがの森の黄色い看板が見えてくると、自然と胸の鼓動が高まります。
麻衣ちゃんと逢うのも久しぶりだから、なにか特別なことしたいんだけど、でも麻衣ちゃんと逢えるだけで最高に幸せ。逢えなかったこの2ヵ月、どんなに辛かったか。今は麻衣ちゃんの笑顔が、すぐそこにある!
ぼくは胸ポケットにだいじに収めた麻衣ちゃんへのプレゼントを確認すると、いざまんがの森川越店に乗り込んでいったのでありました。
よし、今日は頑張るぞっ、ていつも気合いだけはすごんだけど…。
麻衣ちゃんを待つまんがの森川越店は、そこはかとなく華やいだ雰囲気に包まれていました。川越店は2回目なだけあって、ぼくも慣れたものです。麻衣ちゃんの立ち位置をばっちりキープすると、麻衣ちゃんが現われるまでそこで立ち読みを始めました。
午後5時。約束の時間になっても麻衣ちゃんは現われません。でももう大丈夫。麻衣ちゃんがいつも遅れて現われることは知ってますし、それに時折控室の扉から漏れてくる笑い声。あれは間違いなく…麻衣ちゃん!

時計の針が5時をすこしだけ傾いたとき、控室の扉がやさしい音を立てて開き、それまで遠くで響いていた声が、すぐ近くに聞こえてきました。もう待ちわびた。逢いたかったよ、麻衣ちゃん。
麻衣ちゃんとそのスタッフは、狙い通りにぼくの真正面にマイクをセッティングしました。取り囲む麻衣ちゃん派は10人。見れば、前回の川越店で見かけたバンダナ野郎もいます(笑)。
  ぼく: こんばんは。
小声で会釈するぼく。麻衣ちゃんも恐る恐る頭を下げます。
ここでハプニング。
  スタッフ: あ、忘れ物。ちょっとここで待ってて。
  麻衣: えー。
なんと麻衣ちゃんとファン、1対10の危険な状態!(笑)。
しばしの沈黙。緊張感が漂います。
  麻衣: あ、お久しぶりですう。
場をつなごうとファンにご挨拶をかます麻衣ちゃん(笑)。うーん、けなげ(泣)。
しばしの沈黙。
下を向く麻衣ちゃん。無防備の麻衣ちゃん。ためらうぼく、大丈夫かな。でも、チャンスはここしかない!
ぼくは、自分の胸ポケットの中のものをつかみ取ると、それから思い切って麻衣ちゃんを見つめ直しました。
  ぼく: あの、麻衣ちゃん、差し入れです。
ぼくは麻衣ちゃんに、そっと小さな包みを差し出しました。
  麻衣: え、あ、ありがとう。
  ぼく: 帰りの電車賃に。
  麻衣: え、何?
包みの中をのぞく麻衣ちゃん。
  ぼく: 電車賃です。
細い声でしゃべるぼく。中味は…イオカード(3000円)!
  麻衣: わあ、ありがとー。わたし最近貧乏なのよー。
冗談に聞こえないところがこわい(笑)。
  麻衣: ありがとー。わざわざ買ってきてくれたのー?
  ぼく: (ちょっとためらう)…今朝。
  麻衣: ほんと、わざわざありがとー。
  ぼく: いえ、麻衣ちゃんのためならば。
  麻衣: あ…(返答に困る麻衣ちゃん)。
  ぼく: ははは。
  スタッフ: お待たせー。
  麻衣: 今、会話を楽しんでたの。(ぼくの方を向いて)ねっ。
”ねっ”って言われてもねえ(笑)。
麻衣ちゃん、喜んでくれるのが本当に上手。こっちがうれしくなってしまう。一気にやわらぐ空気。今日はいけそうだ。
  スタッフ: じゃ、始めましょうか。
ぼくからのプレゼントを、そっと机の隅に置くまいちゃん。
  麻衣: こんばんは、八木田麻衣です。
今日の麻衣ちゃんは、髪をちょっと後ろでまとめて、うーん、”かわいい”って感じかな。ぼくが最初に場をなごませてあげたおかげで、いつもより笑顔も自然、ファンの顔を見ながら話してくれる。
あ、それともぼくの顔だけだったかな(とか言って)。
麻衣ちゃんが顔を見てくれるので、ぼくも麻衣ちゃんの言葉に笑顔であいづちをうつ。そうするとますます麻衣ちゃんの気分も乗ってくる。こっちもますます楽しくなる。
麻衣ちゃんのファンっておとなしい人ばかりだから、ぼくが責任持って番組を盛り上げなきゃあ。まんがの森での収録、もう絶対に手ばなさない。
1本目の収録終わり。
  バンダナ野郎: あ、写真はいいですか?
  スタッフ: 写真はちょっと…。笑ったり、声かけていただくのはかまいませんから。
おっ、スタッフの手もとに、よねみ&麻衣ちゃんテレカを発見!
今日はインタビュー出演のチャンスがあるかもしれない。多少の嘘をついても麻衣ちゃんにインタビューしてもらうぞっ。
2本目。
  麻衣: じゃあ、UFO見たことがあるっていう人。
ないよ。そりゃあ(泣)。
  スタッフ: はいっ。どうもありがとうございました。
  麻衣: お疲れさまでしたー。
  ファン: お疲れさまでしたー。
帰り支度をはじめる麻衣ちゃん。ぼくからのプレゼント、忘れて帰ったりしないだろうな。
台本をきれいにたたんでから、机の隅に手を伸ばす麻衣ちゃん。ぼくからのプレゼントを、だいじそうに(多分)取り上げる。ほっ。
笑顔で ぼくを振り返る麻衣ちゃん。
  麻衣: 本当にありがとー。
  ぼく: お疲れさまー。いや、そんな…。
声がますます細くなるぼく(笑)。
  麻衣: 本当にありがとうねー。
そんなにお礼を言われても…。麻衣ちゃんがいつもぼくに与えてくれる喜びにくらべれば、こんなの本当にちっぽけ。
麻衣ちゃんは、ぼくに頭を下げつつ控室に入っていくのでした。
麻衣ちゃん、お礼を言いたいのは、こっちだって。

そしてぼくはいつものように、まんがの森の入口の外で、麻衣ちゃんが出てくるのを待っていました。”待っている”と言ってももう顔はゆるんで足は立っていない状態。自分がそこにいることしかわかりません。
麻衣ちゃん、あの大好きな麻衣ちゃんとあんなに親しげにお話してしまった。”ねっ”。麻衣ちゃんのぼくに向けた笑顔、もうまぶたから離れない!
  麻衣: お姫さまみたいー。
麻衣ちゃんの声! ぼくはあわててまんがの森入口に向き直りました。
笑顔で出てくる麻衣ちゃん、見れば、ファンからとおぼしき大きな紙包みを、何個もかかえているではないですか。おいおい、麻衣ちゃん電車で帰るんだぞ。せっかくぼくがかさばらないものを、と思ったのに。
  麻衣: こんどは16日ですう。来てくださいー。
番組が盛り上がると機嫌のいい麻衣ちゃん(笑)。笑顔が、本当にうれしそうです。よかった。麻衣ちゃんも、まんがの森での収録楽しみにしてくれたらいいな。
いつも通り麻衣ちゃんにご挨拶して、今日は気分よく別れよ。
そう思っていたぼくでしたが、今日に限ってはもうひとつのドラマが隠されていたのでした。
ぼくの隣に立っていた高校生とおぼしき二人組が、かばんから色紙を取り出すと、おそるおそる麻衣ちゃんに聞いたのです。
  高校生: あの、サインはいいですか…?
うーん、この前津田沼では断わられてたから、だめじゃないかな。
  麻衣: サインだったら…大丈夫かもしんない。
この”大丈夫かもしんない”の意味するところは!?(笑)
  高校生: あ、”××くんへ”と書いてください。
ははははは。
目の前で二人にサインをしてあげる麻衣ちゃん。ちょっと悩むぼく。
ぼくは麻衣ちゃんにはサインをねだりたくないと思っていた。だって麻衣ちゃんとぼくは結ばれる運命なのだから、そんな他人行儀なことをしていていいはずがない。そう思ってた。
でも目の前でサインをしている麻衣ちゃん、ここで無視したら、麻衣ちゃんに対しても失礼なんじゃないのかな。
ぼくは決断しました。勇気をふりしぼって、この一言が言えればいい!
  ぼく: すいません。次、ペン貸してください。
(爆笑)。
  高校生: あ、はい。
ぼくはかばんからいつも持ち歩いてる麻衣ちゃんのソロアルバムを取り出すと、控え目に麻衣ちゃんに差し出しました。
  ぼく: あ、狭いところですが…。
キュッキュッ。サインをしてくれる麻衣ちゃん。
うん、いいんじゃないかな。ファンとアーティストの関係からはじめれば。鈴木健とその奥さんだって、最初は選手とファンだったはずなんだから。何も今の今から、きばることないよね。
  麻衣: はい。
  ぼく: ありがとうございまーす。
麻衣ちゃんの笑顔は、心を安らかにする。こんなにファンに喜びを与えてくれる人だから、今はまだ、ファンって立場も悪くはないな、そうも思えてくる。
麻衣ちゃんは高校生にペンを返すと、長いまんがの森の階段を下りていくのでした。
麻衣ちゃん、今日はありがとう。また今度逢おうね!
  ぼく: お疲れさまでしたっ。
  麻衣: お疲れさまー。
笑顔で振り向く麻衣ちゃん。今の麻衣ちゃんは、ぼくにはちょっとまぶしすぎる。
  ファン: お疲れさまー。
川越の街の雑踏へ、消えていく麻衣ちゃんを見送るぼくでした。

でも…。
帰り道が同じだようっ(笑)。
ぼくが川越駅への道のりをいそいでいると、前方に歩いているのは…麻衣ちゃん!
ここでついていったら町田店の二の麻衣になる、そう思ったぼくは麻衣ちゃんを早足で追いこし、大げさなアクションで腕時計に目をやると、いかにも無関心を装って歩道橋を上っていくのでした。
…完璧! 自然にこぼれるこの笑み、麻衣ちゃんといい関係をつくった挙句、キメもばっちり。ここまでうまくいったことって、今までになかったよ。もうほんと。この日を待ちわびて準備(何の?)してきたかいがあった。
川越駅で東上線上り急行に乗り込んだぼくは、思わずその場でガッツポーズのひとつでもしてしまいそうでした。
麻衣ちゃんて、なんでこんなにすてきな人なんだろう。もう麻衣ちゃんだけを見つめていたい。麻衣ちゃんだけは離したくない。
麻衣ちゃん、イオカード使ってくれるかなあ。忘れてたりして…(ちょっと心配)。
あとはもう、ファンレターだね。今日の感想を、麻衣ちゃんに送る。そうやっていけば、麻衣ちゃんと親しくなれるかもしれない。親しくなっとかなきゃいけないよね。だって、麻衣ちゃんとはいつまでも一緒にいたいもん。
麻衣ちゃん、こんどは16日だね。こんどは、どんな麻衣ちゃんなんだろう。どんどんきれいになっていく麻衣ちゃんには戸惑うばかりだけど、麻衣ちゃんが、いつまでも麻衣ちゃんの心のままでいてくれたらいいな。
では今日のところは。
さよならっ。


おや、途中から文章がずれている(笑)。
 
 
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