3曲目以降、バラードとアップテンポのナンバーがバランスよく配置された、実に米光らしい構成。
今日唯一の新曲『そばにいるだけで』(表記不明)から、1コーラスがアコースティックの『あなただけ感じて』、そして『Into the good time』。
その中で目につくのは、やはりバラード曲の素晴らしさ。
繊細なメロディーを紡ぎ上げるようにうたう米光のボーカルは、もう何の不安もなく聴くことができる。
中盤、『街路樹の向こう側』から『恋人よ〜TO LOVE YOU MORE』まで4曲続いたバラードは、米光自身、彼女の歌唱力に対する自信の表われと見えた。
米光の涙につられるように会場中が立ち上がった後半戦。
『Field of Dreams』『あなたがいない未来で』。
どこか吹っ切れた感じのする米光のボーカル。歯切れのよいリズムでバックを盛り立てるバンド、そして客席の一体感が心地よい。
『ILLUSION TOWN』のイントロで、見事なサックスを披露する米光。音楽をすることの余裕…歌をうたうことにただ必死だった米光が、今はじめて音楽で遊んでいる。なんて贅沢な風景なんだろう。
『It's just a moment』、そして最後は『No More Blue Christmas』。
ステージ一面、光り輝く星の海。たぶん今の米光には、すべてが楽しくてしかたがないのであろう。TPDの一員としてデビューして6年、ようやく納得のいく自分の姿を見つけることができた喜びが、彼女のやわらかな笑顔に溢れていた。
アンコールは米光が大好きという2曲、『風のPAVEMENT』『FALL IN LOVE, IT'S FOREVER』。
はじめてつくったというオリジナルのTシャツを着て、無邪気な表情を見せる米光。
歌をうたいつづけてきてよかった。歌をうたうことがこんなにも楽しいことだったなんて。
これまで米光がかたくなに隠してきたであろうその無防備な笑顔。手を振って消えていく彼女の背中に、会場はいつまでも暖かい拍手が鳴り止まなかった。