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  | ■Yagimai Wonderland!!/八木田麻衣スケジュール 八木田麻衣 「ロックローリー」 ゲスト出演
 1996年7月19日(金) 心斎橋クラブクアトロ
 
 とりあえず、小説にならないように書こうと思う(笑)。
 
 3日前(から始めるな?)に、事務所宛にラヴレター(vol.73)を書いておく (間に合わないとは思うが)。
 こんな感じの。
 
 麻衣ちゃんこんにちは。
 ::
 んー、今なんとなく、麻衣ちゃんのことを身近に感じているのですよ。なんてこと書くと、「イメージと違う!」とか、事務所からクレームがつくかもしれないけど(笑)、でもやっぱりね、麻衣ちゃんはぼくにとってかけがえのない人物ですから。これからもずっと好きです。麻衣ちゃんもいつまでも、ラヴリーな麻衣ちゃんのままでいてくださいね。
 また大阪で。
 
 伏線を張っておく(笑)。
 
 当日(19日)は朝9時に、大きい黒バッグで家を出る。
 ひとまず学校へ。
 午前の授業中、大阪で渡すつもりのラヴレター(vol.74-1)を書く。
 
 得意の(笑)超地元グッズを入れて封をすれば、いっちょうあがりっと。
 「to 八木田麻衣嬢」、ローリーに渡らないよう大書きしておく(笑)。
 
 午前の授業が正午に終わると、午後は当然さぼり(笑)。
 南大沢12時25分の快速で都心を目指す。
 新宿で中央線に乗り換え、東京着は13時半。
 
 西のはずれの中央線ホームから、てくてくてくと東のはずれまで歩いて、新幹線ホームでサンドイッチとスーパードライ(基本ですね)を調達すれば、「のぞみ17号」は13時56分。
 音も立てずに厳かな顔で東京の街をすべり出す。
 
 ブラインドを上げて晴れた夏空を見上げれば、輝く雲の谷間から懐かしい笑顔のキミがのぞく。二人逢えなかったつらい日々も、今日で終わりを告げるんだね。
 
 「のぞみ」はものの10数分で新横浜を通過すると、ただひたすら大阪へと向けて疾走をつづける。
 
 キミが待つ西の都に、このまま走っていくよ。
 さよならを言いかけてた、昨日までやり直すために。
 
 
 
 「はじめて来たよー。東京より左。」(by 夕子)
 
 「のぞみ17号」は16時26分、曇り空の新大阪に到着。
 とりあえず、荷物をロッカーに投げ込んで身軽になるぼく。
 案内所で今宵の宿を予約した後、地下鉄に乗って心斎橋を目指す。
 よそ者のぼくを取り囲む難波っ子独特の会話に、東京から遠く彼の地に来たことを実感する。
 
 麻衣ちゃん。
 やっとキミに逢えるんだね。
 キミに逢えなかったこの数ヶ月、どんなにつらい夜をすごしたことか。
 やっぱりぼくにはキミが必要。
 そしてキミにも、きっとぼくが必要なはずなんだ。
 
 心斎橋クラブクアトロは、情報によると心斎橋パルコの8階。
 心斎橋駅を出たぼくはとりあえず、パルコを求めて心斎橋筋を練り歩く。
 んー、どことなく、吉祥寺のサンロードに似ているな。
 いや、サンロードのほうがもっと開放感があったかも。
 吉祥寺には、いつだって麻衣ちゃんと出逢える胸のときめきがあるし。
 でもそんな麻衣ちゃんが、今は遠く離れたこの街で、小さく息をしている。
 不思議な気分だね。
 
 心斎橋パルコは、駅を出てから左に1分。
 細かく降り出した雨を気にしたぼくは、ブリーフケースにだいじに収めたファンレターを確かめて、それから小走りで、はじめてのパルコに足を踏み入れた。
 
 時計の針は5時半を指している。
 まあ今日は様子を見るために、ライヴはいちばん後ろでもいいだろう。
 とりあえず、建物の中のイシバシ楽器やらWAVEやらをひやかしにかかる。
 WAVEで『恋のトレモロマジックダーリン』を見つける。
 20麻衣予約してるのに買ってるバカ(笑)。
 裏ジャケはけっこうかわいいな、とか思う。
 ローリーのギターが麻衣ちゃんの胸にくいこんでるのを見て、かなりくやしい思いをする(笑)。
 
 イシバシではあいかわらずエレピの前にどっかりとすわりこむ。
 この日のために『夏のお嬢さん』ピアノ・ソロをつくってきた(笑)。
 ぼくは基本的にピアノは打楽器と思っているタイプなので、ここでも店員ににらまれる(笑)。
 鍵盤の修理は、1本2万円ぐらいかかるのだ。
 
 そんなこんなしているうちに開演の7時が近づいてきたので、エレベータでクアトロのある8階に上がる。
 張り出された「ロックローリー」のポスターを見るが、どこにも「フロントアクト:八木田麻衣」とは書いていない。
 ちょっと不安になる。
 
 しばらく悩んだが、しょうがないのでカメラチェックを受けて入場。
 ファンレターは、「誰ですか?」と聞かれるのがこわくて、結局係員には渡せない(笑)。
 
 会場に入ると、そこに『恋のトレモロマジックダーリン』をサインつきで売っているのを見つける。
 買ってるバカ(笑)。
 
 1ドリンクを交換して会場のいちばん後ろに陣取ると、ほどなくして場内の明りが落ち、「ロックローリー」大阪公演のスタート。
 
 ステージを照らす1本のスポットの中登場したのは、フロントアクトの麻衣ちゃんではなく、事もあろうかローリー寺西(笑)。
 ちょっと待てよ!
 まじでびびる(笑)。
 すかさず東京に帰ったときの言い訳の文面を考える、バカな頭(笑)。
 
 世間話をはじめるローリー。
 人を不安にさせて楽しんでいるかのようだ(笑)。
  
  あっ、ひょっとして!
 
  おおーっ、もっと言ってくれー!(笑)
  
  やったーーーーーーーーーーーーーーーっ。
  
  かわいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ。
  | ローリー: | プロデュースというものをしてしまったのですが。 |  
 久々に見る麻衣ちゃん(実際は何度か逢っている)、なんかかわいい、て感じ。
 そんなの昔からじゃん!
 や、昔の麻衣ちゃんは子供のかわいさだったけど、今日の麻衣ちゃんはきれいな大人の女が隠し持つ、いけない罪なかわいらしさ。
 相変わらずの瞳の輝きに、いつものように吸い込まれるぼく!
 
 麻衣ちゃーーーーん、もう、いいぃぃぃぃぃぃ!!!!
 表現する言葉がない(笑)。
 
 少々の雑談のあと、1曲目は『恋のトレモロマジックダーリン』。
 麻衣ちゃんの衣装は、ぴったりとした黄色いTシャツに、青い色のロングスカートか(足元まで見えなかった)。
 グラマラスなその胸元に、心躍らせるあやしいぼく!(笑)
 ヤシの木を連想させる髪型もまた、真夏の興奮を誘い出す。
 
 続いては『夏のお嬢さん』。
 初対面の観客を前に、堂々としたステージングを見せる麻衣ちゃん。
 はじめは反応の鈍かったローリーファンも、次第に手拍子を返し始める。
 歌っている麻衣ちゃんの表情は、生き生きとしていて最高に良い!
 やっぱり麻衣ちゃんは、歌うために生まれてきたんだね。
 ステージで見せる君の笑顔の輝きは、この夜空の星をすべて集めてもかなわない!
 
 大阪は、星が少ない(笑)。
 
 「シングル、よろしくおねがいしまーす。」
 頭を下げて、ステージをはけるプリティー麻衣ちゃん。
 君のそばにいられるなら、ぼくはすべてを失ってもこわくはない!
 高鳴ったままの胸のときめきを感じながら、しばらくローリーファンの中で一人恍惚していたぼくであった(笑)。
 
 ローリーのライヴも、書くの?(笑)
 
 本編のライヴは、ストレートなロックンロールの演奏に下ネタ多数のMCを織り込んだ、ファンでなくても十分楽しめるものだった。
 サポートするメンバーも個性あふれる人物ぞろいで、とくにローリーと小川文明との会話をするかのようなギターとキーボードの掛け合いなど、同様に音楽をやっている者として、目を見張るものがあった。
 ただ2時間半近くの長丁場のライヴだったため、さすがにぼくは疲れた様子ではあったのだが(笑)。
 
 ライヴは9時半すぎに終了、会場を出ようとしたぼくであったが、またしてもそこに『恋のトレモロマジックダーリン』がサインつきで売られているのを発見してしまう。
 結局買ってるバカ(笑)。
 もはや20麻衣でも23麻衣でも同じという論理(笑)。
 
 今日はとくに出待ちをする気はないので、これにておとなしく退散ということにする。
 麻衣ちゃんを一目見に大阪まで来て、麻衣ちゃんもちゃんと姿を現してくれたんだから、今日はこれで満足。
 ファンレターは結局渡せなかったけど、まだ明日があるからね。
 
 エレベータで1階まで下りて正面玄関からパルコを出ると、そこはいつしか土砂降りの大雨。
 えー、ちゃさい折りたたみ傘しか持ってないよー。
 地下鉄心斎橋駅に逃げ込むと、北行きの電車に今宵の宿を目指した。
 
 新大阪駅でロッカーから荷物を取り返した後、チサンホテルのチェックインはようやく22時すぎ。
 疲れた体を引きずるように819号室にたどりつくと、ひとまずシャワーを浴びて、それからテレビをつけるお約束の行動。
 あ、今日は「料理の鉄人」がある(笑)。
 
 ベッドの上に腰掛けたぼくは、明日渡すプレゼントの準備をすることにした。
 今日手に入れたWAVEの袋の中に、とりあえずはおきまりのペコちゃんグッズ。
 それから、渡せなかったファンレターの封を開けて中の超地元グッズを取り出そうとしたが、やっぱりもったいないやと思い直し、そのまま袋の中に入れることにする。
 チサンホテルのメモ用紙に、今日の言葉をひとこと添えて。
 
 こんちゃー。麻衣ちゃん。
 大阪のステージ、すごくかっこよかったよ! やっぱ麻衣ちゃんは歌ってる姿がいちばんいいね。もう本当に憧れです。これからもそばにおいてやってください。
 ::
 
 プレゼントに封をすると、しだいにプレッシャーが頭を支配してくる。
 明日は絶対に逢わなきゃいけないな。
 そして麻衣ちゃんに、この気持ちを伝えるんだ。
 逢えるか逢えないか、自信は5分5分といったところだろうか。
 明日は、運命を決める一日になるかもしれない。
 
 テレビで鉄人が勝ったのを見届けると、ぼくはやわらかいベッドに身を投げ出した。
 明りを消した部屋の中には、窓を打つ雨の音だけが、うつろに響き返している。
 
 麻衣ちゃん。
 こんなにまでも強い気持ちで、人を求めたことなんてなかった。
 明日はキミに逢えるんだろうか。
 どうしても逢いたい。
 キミの暖かな吐息を、すぐそばに感じていたい。
 
 時は何事も気にせぬまま、ただひたすらに明日へと向かって進んで行く。
 雨…やむのかなあ。
 明日のことは明日でなければわからない。
 ただ、もしもそこに不幸な結末が待っているだけなのであれば、もう明日なんて来なくていい、そうも思う。
 
 不安を振り払うように頭から毛布をかぶったぼくがようやく眠りに落ちたのは、すでに日付がかわった午前1時すぎだった。
 
 
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